朝凪、夕凪

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zoom RSS 「後白河院」読了。

<<   作成日時 : 2005/10/11 21:57   >>

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文庫を探すのは難しく、でも図書館で見つかったので、まぁ、良かったです。
第一部〜第四部に分かれて、それぞれ4人が後白河院について語る、というものでした。

第一部。語り・兵部卿平信範(のぶのり)、保元・平治の乱の頃。義経の父、義朝も出てきて「義経・EP1」みたいな感じ。
第二部。建春門院に仕えていた女房(藤原俊成女、家では「健御前」・御所へ上がってからは「中納言殿」と呼ばれる。史実では「建春門院中納言日記」を遺す)が語る。ここではどちらかというと法皇よりも、女院の人となり・思い出を描いたもの。

第三部。吉田(藤原)経房(つねふさ)。蔵人頭左弁。院宣・宣旨の草書を担当。

第四部。九条(藤原)兼実(かねざね)。内府さま、とも。保元の乱当時、8歳。ちなみに、第一部の信範とは・・・・・・読んでのお楽しみ。


個人的には、第二部の↓の文が、院とは関係ないのですが、強く心に残りました。
「女院のお傍近く侍っておりました過ぎし日のことが、それもそう遠い昔のことではございませぬのに、今となりましてはただ夢の中のことのように思われまして、今のうちにそれがどこへも飛び散ってしまわないように、うたかたのごとく消えてしまいませんように、拙い筆ででもいいから書き留めておこうと、そんな気持で、姉の家に身を寄せるようになりましてから、筆を執りましたものがあったからでございます。拙い文章でお目にかけることはできませんが、それをもとにしてわたくし自身がお話しすることはできるかと存じます。書き留めてありますものの順序でお話しいたしますので、先きに申し上げるべきことがあとになったり、またその反対のことが起ったりいたすかと存じますが、そのこと予めお許し願っておきます。」


↑井上靖 歴史小説集 第八巻 岩波書店「後白河院 楊貴妃伝」より。

(・・・自分が舞台のレビューやら書く時、まさにこの心境だったり・・・。)

井上作品、そんなに読破しておりませんが(汗)、文体は硬質というか、男臭さよりストイックさが前面に、登場人物は熱くとも、「語り」においては冷静な眼差し・・・という印象が強かったので、こういう女性の語りの文は新鮮でした。
意外にも、「額田王」執筆はこの後だったとか(昭和39〜40年「展望」8回連載。「額田王」執筆は47年)。

作品自体の感想に戻ると、語っている人達がみな朝廷側なので(まぁ主役が法皇ですから)、清盛、義仲、義経、頼朝らは話には出てきますが、どこか遠い存在のように感じます。

「後白河院とは、何者なのか?」4人の語り手達は、それぞれの見解を示してはいますが・・・。

元々院は、皇位継承からやや外れた位置にいたものの、さる事から天皇となり、しかし在位は短く、一方今様を好み、建春門院と睦まじく・・・だが、彼の心の内は誰も(建春門院すら)理解・把握は難しかった、という事で・・・。

あ、丹後局も出て来ますが、ほんのちょっとです。

図書館への返却ギリギリになってしまい、慌しく読んでしまった(「楊貴妃伝」の方が長いのに・・・反省)。

でも、井上作品で平安時代(末期ですが)を舞台にした作品を読めるとは思わなかったです(戦国時代とか、或いは大陸ものが一番に来るので)。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 井上靖の作品が好きで、「後白河院」もその流れで読みました。
 直接後白河院が登場するのではなく、幾人かの人が語ることで後白河院の「人」が浮かび上がってくるような書き方がとても新鮮で、感動しました。
乱読
2005/10/12 02:07
乱読様、初めましてこんばんは。コメント、有難うございます!

>井上靖の作品が好きで、「後白河院」もその流れで読みました。
自分も高校の時、井上作品を幾つか読んでました。でも今年の大河で後白河法皇の事を知り、最近になってこの小説の存在を・・・という遅い奴です(汗)。「淀どの日記」も読みたいし、他にも読んでない作品が・・・。

> 直接後白河院が登場するのではなく、幾人かの人が語ることで後白河院の「人」が浮かび上がってくるような書き方がとても新鮮

ですね。一応「日本一の大天狗」という院の代名詞も出て来ますが、それも・・・という解釈があったり。
別の角度から見た「源平、」興味深かったです。
朝凪、夕凪 管理人
2005/10/12 22:14

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